この頃つくづく思うのですが、「伝統と文化の継承」は大切なことと認識されながら、ややもすると外観にのみとらわれているような気がするのです。伝統も文化もその根本は心の問題であるとは重々承知していても、敗戦後の日本では、なかなか伝え難く、貧困からの脱出というものや「富」への偏った考え方が先行してしまいました。「もの」よりも「心」が大切だとは思いながらも、戦後70年もすぎて、現在の世相を見た時、「心」を伝える努力をしなかったという反省が心を痛めます。
新聞やテレビで報道される倫理を逸脱した「無茶苦茶なこと」、「とても考えられないようなこと」だったはずの出来事。それが現実に、しかも当たり前のように起きている以上、改めて日本人の「心のあり方」を省みざるをえません。親から子へ、子から孫へ、日本の伝統的な心を伝えていくという努力を、すぐにでもしないと、日本の明日はもっと暗くなると思うのです。世界の中でも、高く高く評価されている日本文化を後世に伝えるために、「日本の心」の継承に、気を引き締めて取り組む必要があると、切に思うのであります。
(宮司 記)
コメントをお書きください